2010年度京都市委託事業潰瘍性大腸炎、クローン病医療講演、個別相談会、患者・家族交流会を開催しました
12月12日(日)、毎年の年末恒例行事になりました、京都市委託事業 潰瘍性大腸炎、クローン病医療講演、個別相談会ならびに患者・家族交流会を、ハートピア京都で開催しました。
講師は、いつもお世話になっている京都大学消化器内科学の仲瀬裕志先生(講演と個別相談)と同大学の松浦稔先生です。
今年は問い合わせが少なかったのでちょっと心配していたのですが、当日は60数名の参加がありました。後から名簿を見ると埼玉県からご参加の方もおられたようです。
今年の演題は「現代社会でふえている下部消化管疾患」
~炎症性腸疾患と過敏性大腸炎との関係~でした。
主な内容は下記のとおりです。
▽炎症が治癒しても排便回数がうまくコントロールできない。
▽ストレスと胃腸の関係。
▽過敏性大腸炎(IBS)って何?
▽IBSの原因について。
▽IBSになりやすい人。→10代のころから胃腸が弱かった人が社会人となって仕事上のストレスにさらされ、症状が悪化するケースが多い。
▽今まではIBDとIBSはまったく異なる疾患と考えられてきたが。
▽IBDとIBSの関係。→関連する遺伝子の比較
▽なぜTNF-α遺伝子多型が注目されるのか。
▽IBS患者では軽微な炎症が生じている。
▽IBS発症のメカニズム→消化管運動異常の発生機序
▽IL-6がIBSの病態に関与。→IL-6濃度とIBSの症状の強さは相関する。
▽腸管運動とセロトニン(5-HT)。
▽IBS患者は健康人と比較して食後の血中5-HT濃度が高値。→セロトニン5-HT3受容体拮抗薬が下痢型IBSに対して有効。
▽IBDとIBSは、まったく同じ疾患ではないが発症機序、病態は似ている部分がしばしばある。
▽ストレスは炎症を誘発し、消化管運動に影響を与える。
このような感じで、炎症性腸疾患と過敏性大腸炎との関係を詳しく説明いただきました。
両者は、今までは異なる疾患だと思われていたけど、最近の研究ではまったく別の病気ではなく、いくつかの点で似ているところがあるということが、解明されてきたようです。
そのあたりから、増え続けているIBDを減らしたり、再燃を予防できる手立ての開発につながっていくことを期待したいですね。
仲瀬先生は、終了後の雑談では腸管の絨毛が大切だということも言っておられました。炎症により絨毛が委縮して丈が短くなると、抗原が体内に入りやすくなる。するとまた炎症を起こすという悪循環になる。
だから絨毛の委縮を防いで丈をしっかり伸ばせるようにできれば、再燃を予防できるのではないかということです。
以前の講演会のときは、絶食や栄養療法は腸管の絨毛を委縮させるのであまり良くないというようなことも言っておられました。
IBDとIBSの関係は、これからもっと注目されるようになっていくかもしれませんね。
仲瀬先生から、講演で使用したパワーポイント資料の一部(著作権が問題とならないもの)をホームページで公開しても良いとの許可をいただきましたので、後日公開したいと思います。
もっと、過敏性大腸炎との関係を多くの人に知っていただこうと思います。
さて、講演の後は、同じ部屋では潰瘍性大腸炎とクローン病に分かれて交流会を開催、並行して別の部屋で個別相談会を行いました。
今回も充実した1日でした。
最初の講演前に、私は主催者あいさつとして、下記のようなお話させていただきました。
私のあいさつなんぞ、どうでもいいことかもしれませんが、一応参考までに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨年の講演会でごあいさつさせていただいたとき、新薬の承認で実り多い一年だったというように申し上げましたが、今年も、8月に潰瘍性大腸炎に対してレミケードが承認されました。そして10月にはクローン病に対してヒュミラが承認されました。
このように炎症性腸疾患においては、日本でもだいぶんと治療の選択肢も増えてきたことを実感しています。
新薬で治療効果が高いと思われる薬が開発されて、それがどれだけの効果があるかということですが。例えば、これまでは炎症反応の数字で見たり潰瘍の大きさとか、診察で行う所見で治療効果を判定していたのですが、QOLの研究班が難病対策のなかに盛り込まれてからは、治験効果のなかにQOLが盛り込まれつつあります。
最近では、単に炎症の数値とかだけでなはなく、生活の質、QOLを高めるということは重要視されるようになってきたということのようです。
ただ、QOLと言いますと、「生活の質」と一言でお答えいただける方も多いと思いますが、なにをもって生活の質というのかですが、それはまだ議論されている最中であります。
私たちに関して言えば、レミケードなどの生物学製剤では、特にクローン病の方で、今まで厳しい食事制限を強いられてきた人が、この薬を使うようになってから以前よりも食事ができるようになったという話をよくお聞きするようになりました。
食事を摂れるというのは、私たちにとっては大きなQOLの向上ではないかと思います。
次に難病対策に関する政策的なことでは、難治性疾患克服研究事業という、難病の研究予算が、今年の場合は100億円出ているのですが、来年度予算の概算要求では、本予算を70億円に減額してしまいました。そして政府が行っている「政策コンテスト」のライフ・イノベーションプロジェクトというところで、難病予算を40億円計上しています。
「政策コンテスト」やライフイノベーションという言葉は、みなさんも新聞やニュースでご存じの方も多いと思いますが、このライフ・イノベーションで満額が取れると本予算の70億円と合わせて110億円になるのですが。
ところが政府の「元気な日本復活特別枠に関する評価会議」で難病を含む厚生労働省の「健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト」(要求額233億円)は、ABCDの4段階で「C」判定になってしまいました。
予算も減額される可能性が大きくなりました。
そもそも人の命にかかわるような難病の研究予算を政策コンテストみたいなことで決めること自体が大きな間違いではないかと思います。
研究する側の先生方にしても、コンテストで毎年、予算が増えたり減ったりしたのでは、落ち着いて研究できないのではないかと思います。
こういたところにも、現在の民主党政権の混迷ぶりが伺えるようです。
それから、治療費の助成を行っている特定疾患治療研究事業では、昨年度、予算増額が1000億円を超えました。
56疾患が対象で、潰瘍性大腸炎もクローン病もこの事業のなかに含まれていて、私たちは治療費という面ではたいへん助かっていますが。
この事業は、国と地方が半分ずつ予算を出し合うことになっているのですが、実際には国は4分の1程度しか出していません。少し前までは3分の1ぐらいでしたが、さらに減ってしまい、地方の超過負担が年々大きくなり、事業の継続を困難にしているのが現状です。
しかも、来年度の概算要求を見ると、厚労省はあまり増額要求していないのですね。この先どうなるのだろうというのが、実態です。
そういったことも、現状として知っておいていただきたいと思います。
政府というか与党は、現在小沢一朗さんを国会招致するとかしないということをやっていますが、来年度予算のほうも私たちが納得できるものをしっかり作ってほしいものですね。
来年度予算は、クリスマスの前後といますから今月の24日ごろに発表されるようです。
以上です。それでは今日もよろしくお願いします。
| 固定リンク
|
この記事へのコメントは終了しました。






コメント